NHKラジオ第2 私の日本語辞典「品種の名からたどる米の歴史」を聞いた記録です。聞きながらのメモベースなので、間違いもあるかもしれませんのであしからず。
日本の稲に2種類ある (第1回)
1つは古くからある熱帯ジャポニカで、焼き畑などで作れる粗放で、全体的に大柄な稲です。揚子江の南などにもあったようで、そこからダイレクトに伝わってきたのでは、と言われていました。
もう1つの種は、温帯ジャポニカと言います。いわゆるいま見える水田の稲作で使われるもので、全体的には小柄。熱帯ジャポニカと比べて、潤沢な肥料により成長しやすく、時代とともに使いやすくなるような特徴があったようです。
ただ、温帯ジャポニカは、昼間の長さに成熟が左右されやすく、関東のような北の方でももう穂がつかないなどの問題がありました。これが、熱帯ジャポニカと交雑し熱帯ジャポニカの遺伝子を獲得することで稲作が北上できるようになったとか。
古代の稲作の調べ方 (第1回)
さて、こうした古代の稲作を調べるのはどうするのでしょうか。これにはプラント・オパールというものを使うようです。プラント・オパールは稲の葉っぱに溜ったガラス質のもので、腐らないので地層からも出てきます。これを調べることで、古代の稲作の場所がわかり、その品種もわかるということのようです。
稲の品種の名前 (第2回)
第2回は稲の品種の名前を多く扱っています。
奈良時代の頃から種子札というものが種の袋につけられ、品種名・生産者・特徴などが書いていたようです。この時代には品種という概念ができていたことがわかります。
いくつか面白かった品種名を書いておきます。
畔越(あぜこし): 成熟した時に、畔を越えて隣の田んぼに倒れていた(あるいは、それを願った)
酒流女(するめ): 成長が早い稲の早稲。
このように品種にはその特徴、あるいは願望をこめてつけられていたようです。
早稲(わせ)はべんり (第2回)
早稲は早くとれる稲。これを使うことで2点便利なことがありました。1つは普通の稲が天候などで不作になったときのリスクヘッジ。早稲で早めに食糧を確保しておくと安心ということですね。
もう1つは戦争する時に、早く田んぼをあけられれば、早く農民から兵を出せる。あるいは、敵が攻めてきて田んぼを焼かれて収穫ができないことを防げるといった点があったようです。
ということで、早稲に関する品種名は多いようです。
大唐米 (第2回)
大唐米は中国から伝わってきたコメの品種で、赤米でインディカ型のお米です。そうすると、日本人の味覚的には、ぱさぱさで水が多くないとうまくたけない特徴があります。また、土地がやせていても水が悪くてもできた品種だったようです。
この大唐米が「税金逃れ」的に使われていたという話がありました。コメの特徴から年貢米になりにくいことから自分のものにしやすかった。また、早稲という特徴を活かしたエピソードもありました。田んぼの真ん中には普通の米を植えておいて、畔道のまわりに大唐米を植えておく。大唐米は先に収穫して、普通の米の収穫のころ、お役人が来るころには普通の米の実りしか見えない、というようなわけです。
このように便利だったので、大唐米は近代まで残っていたようです。